■雨の日には合羽を着て


霧の中歩いた朝
光の見えない木々の下で
僕らは梅雨を吸い込んだ

まだ見ぬ夏の陽を求め
下草の茂る道を進んだ
巡り来る季節の波に身を委ねて

たとえそれが誰かの仕掛けた
つまらない罠だったとしても

早足で逃げていく春と
精一杯走ってくる夏の
隙間に降る雨の中に僕らは立っていて
いつか感じる懐かしさ組み立てている

昔ふと頭をよぎった
つまらない夢が少しずつ
形を成してくることに身震いしながら
ただ短い針がふたまわりするのを見ている

待ってはくれない 分かっているから
力を込めて一歩を踏み出す


040608

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