■雪明かりの屋上で僕は


灰色の町に 西から強い風が吹く
君は笑って両手を広げ 凍った道でつるりと滑った

片寄った視線で見つめる毎日はまだ寒いままで

雪明かりの屋上で僕は独り また誰かが死ぬ夢を見ていた
この哀しい思いは海へ続く レース色の空に放って


灰色の町に 海から冷たい風が吹く
君は積もった雪を丸め ぎこちない手つきで僕に投げた

コタツの中に沈んだまま 遅い朝日をもう何度見ただろう?

言葉ひとつ声に出してみても夜は 僕を飲み込んで闇へ流す
何気ない優しさは雪に埋もれる 鳥居の脇に残して


040210

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